117C64

50歳の女性。発熱と強い動悸のため救急車で搬入された。
現病歴:6日前から咽頭痛と軽度の咳嗽が出現し、自宅近くの診療所で総合感冒薬の処方を受けた。3日前から発熱と前頸部痛が出現し、今朝から強い動悸も自覚したため娘が救急車を要請した。
既往歴:高血圧症でカルシウム拮抗薬を内服している。
生活歴:夫、大学生の娘と3人暮らし。喫煙は20歳から30歳まで10本/日。飲酒歴はない。
家族歴:父が高血圧症。
現 症:意識は清明。身長158cm、体重52kg。体温37.8℃。心拍数118/分、整。血圧134/74mmHg。呼吸数20/分。SpO2 98%(room air)。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。口腔内と咽頭とに異常を認めない。甲状腺はびまん性に腫大しており、左葉に圧痛を認める。頸部リンパ節の腫大や頸静脈怒張を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。四肢に浮腫を認めない。
検査所見:尿所見:蛋白(-)、糖(-)、潜血(-)。赤沈62mm/1時間。血液所見:赤血球362万、Hb 11.0g/dL、Ht 32%、白血球6,600、血小板18万。血液生化学所見:総蛋白7.2g/dL、アルブミン4.0g/dL、総ビリルビン0.8mg/dL、AST 44U/L、ALT 49U/L、LD 207U/L(基準120~245)、ALP 262U/L(基準38~113)、尿素窒素14mg/dL、クレアチニン0.8mg/dL、血糖98mg/dL、Na 141mEq/L、K 3.6mEq/L、Cl 104mEq/L、Ca 8.8mg/dL、TSH 0.08μU/mL(基準0.2~4.0)、FT3 9.82pg/mL(基準2.3~4.3)、FT4 3.92ng/dL(基準0.8~2.2)。免疫血清学所見:CRP 9.2mg/dL、抗TSH受容体抗体陰性。胸部エックス線写真で心拡大や肺血管影の増強はなく、胸水貯留を認めない。心電図は洞性頻脈でST-T変化を認めない。

診断に最も有用な検査はどれか。

a 頸部CT

b 心エコー検査

c Holter心電図検査

d 甲状腺超音波検査

e 甲状腺穿刺細胞診

正解:d

難易度:低

・前問(117C63)より亜急性甲状腺炎が考えられる.

✕(a)甲状腺の詳細な評価は不可能である.

✕(b)動悸や頻脈は心疾患由来ではなく甲状腺疾患由来である.

✕(c)動悸や頻脈は心疾患由来ではなく甲状腺疾患由来である.

◯(d)疼痛部に一致した境界不明瞭な低エコー域が超音波検査で認められることが診断に有用である.

✕(e)甲状腺の腫瘍性病変であれば有用である.

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です