117B39

75歳の男性。複視と眼瞼下垂を主訴に来院した。昨夜、入眠中に突然出現した激しい頭痛のために覚醒し、頭痛は1時間持続した。今朝になって複視と右眼の開眼困難に気付いた。これまでに慢性的な頭痛の既往はない。意識は清明。身長172cm、体重61kg。体温36.4℃。脈拍72/分、整。血圧128/80mmHg。呼吸数12/分。SpO2 96%(room air)。右瞳孔の散大と対光反射消失とを認める。眼(A)と眼球運動の様子(B)とを下に示す。他の身体診察に異常を認めない。

(A)

(B)


最も考えられる診断はどれか。

(a) 片頭痛

(b) Bell麻痺

(c) 脳動脈瘤

(d) 重症筋無力症

(e) Horner症候群

正解:c

難易度:低

✕(a)頭痛の既往がないため不適切

✕(b)顔面筋の麻痺はみられず不適切

◯(c)突然の激しい頭痛から,クモ膜下出血が鑑別に上がる.クモ膜下出血は脳動脈瘤の破裂により起こるものだが,本症例で認められた少量の出血は,脳動脈瘤が急速増大した際にみられる警告出血と考えると説明がつく.その増大により右動眼神経が圧迫され,右動眼神経麻痺が認められた症例である.

✕(d)本症例では日内変動がなく,重症筋無力症は突然起こる疾患ではないため不適切

✕(e)Horner症候群であれば3徴として中等度縮瞳,眼瞼下垂,眼球陥凹があげられるが,眼瞼下垂以外の典型的所見が認められない.また上眼瞼挙筋による眼瞼下垂は本症例よりも軽度となる可能性が高い.

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です