117A38
45歳の男性。夕方になるとまぶたが下がること、物が二重に見えること、水分を慌てて飲むと鼻に逆流することを主訴に来院した。2か月前から症状を自覚していたが、改善しないため受診した。既往歴に特記すべきことはない。血液検査、頭部MRI及び胸部造影CTを行った。頭部MRIで異常は認めなかった。この患者の胸部造影CTを下に示す。
この患者の血液検査で異常値を示すと考えられるのはどれか.
(a) 可溶性IL-2受容体抗体
(b) α-フェトプロテイン〈AFP〉
(c) 抗アセチルコリン受容体抗体
(d) ヒト絨毛性ゴナドトロピン〈hCG〉
(e) アンジオテンシン変換酵素〈ACE〉
正解:c
難易度:低
・夕方に悪化する日内変動があることから神経筋接合部疾患が疑われる.
・眼瞼下垂や複視,軟口蓋麻痺の症状が現れており,重症筋無力症と判断できる.
・胸部CT画像では胸腺腫と考えられる腫瘤が認められる.
✕(a)成人T細胞性白血病で上昇する.
✕(b)肝細胞癌のマーカーである.
◯(c)重症筋無力症に特異度の高い抗体である.
✕(d)卵巣癌や松果体腫瘍のような胚細胞性腫瘍のマーカーである.
✕(e)サルコイドーシスで上昇する.