117D37

28歳の男性。腹痛を主訴に来院した。1か月前からのどが乾き、夜間に排尿のため何回も目が覚めるようになった。今朝から腹痛を自覚し、食事が摂れないため受診した。身長174cm、体重65kg。脈拍92/分、整。血圧88/64mmHg。口腔内は乾燥している。尿所見：蛋白（－）、糖3＋、ケトン体2＋、潜血（－）。血液生化学所見：総蛋白8.2g/dL、尿素窒素28mg/dL、クレアチニン1.0mg/dL、血糖466mg/dL、HbA1c 9.5％（基準4.6～6.2）、Na 128mEq/L、K 5.5mEq/L、Cl 88mEq/L。生理食塩液の輸液とインスリンの静脈内投与を開始した。
治療開始後数時間以内に低下が予想されるのはどれか。

(a) 血圧

(b) HbA1c値

(c) 血清Na値

(d) 血清K値

(e) 血清Cl値

正解：d

難易度：低

✕(a)生理食塩水の輸液により，血圧は正常値に近くなる．
✕(b)HbA1cは短時間で大きくは変動しない．

✕(c)高血糖是正により水が細胞内に取り込まれ血液は濃縮するため，Na値は上昇する．

◯(d)口腔内乾燥や夜間多尿，高血糖や高HbA1c血症から糖尿病であることがわかる．インスリン投与によりKも細胞内に取り込まれるため，Kは低下する．

✕(e)高血糖是正により水が細胞内に取り込まれ血液は濃縮するため，Cl値は上昇する．