117D27

45歳の男性。頭痛と睡眠時のいびきを主訴に来院した。数年前から靴や指輪のサイズが合わなくなり、久しぶりの友人との電話では声の低音化も指摘されていた。身長172cm、体重79kg。脈拍80/分、整。血圧148/92mmHg。呼吸数12/分。甲状腺腫は触知しない。心音と呼吸音とに異常を認めない。下腿に浮腫を認めない。血液所見:赤血球486万、Hb 14.2g/dL、Ht 43%、白血球8,200、血小板23万。血液生化学所見:AST 48U/L、ALT 44U/L、γ-GT 78U/L(基準8~50)、ALP 186U/L(基準38~113)、空腹時血糖128mg/dL、HbA1c 6.9%(基準4.6~6.2)、LDLコレステロール154mg/dL、Na 142mEq/L、K 4.2mEq/L、Cl 105mEq/L、Ca 9.8mg/dL、P 4.5mg/dL。両手の写真を別に示す。
この患者の診断のために有用でないのはどれか。

(a) GH測定

(b) 下垂体MRI

(c) インスリン負荷試験〈ITT〉

(d) 経口グルコース負荷試験〈75gOGTT〉

(e) 血中インスリン様成長因子-I〈IGF-I〉測定

正解:c

難易度:低

・画像からは手指の肥大の所見を認め,その他靴のサイズの変化や睡眠時無呼吸症候群,糖代謝異常など,先端巨大症と疑うに十分な症状の記載がある.

◯(a)血中GHの正常値は2.5ng/mL以下だが,先端巨大症患者では10ng/mL以上となることが多い.変動が大きいため,1回の測定での診断的意義は少ない.

◯(b)MRIまたはCTで下垂体腺腫の所見を認めれば,先端巨大症と診断できる.

✕(c)成長ホルモン分泌不全性低身長症では,正常ではインスリン負荷試験による低血糖で下垂体が刺激され,GH分泌が上昇するはずが,低値のままである所見が認められる.このGH分泌刺激試験を行い,確定診断に至る.

◯(d)75gOGTTにより正常血中GHは0.4ng/mL未満に抑制されるが,先端巨大症患者では抑制されない.ただし糖尿病患者には行わない.

◯(e)IGF-Ⅰは,GHによって増加し,かつ変動が少ないため,GH分泌量を反映する上で優れた指標となる.

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