117D26
75歳の男性。全身倦怠感を主訴に家族に連れられて来院した。本日起床時から倦怠感を自覚し、水分を摂取したが軽快しないため受診した。慢性腎臓病、糖尿病および高血圧症でスルホニル尿素薬、DPP-4阻害薬、SGLT2阻害薬、カルシウム拮抗薬および抗アルドステロン薬を内服している。身長170cm、体重70kg。脈拍96/分、整。血圧172/60mmHg。胸腹部に異常を認めない。尿所見:蛋白2+、ケトン体(-)、潜血(-)。血液所見:赤血球420万、Hb 13.0g/dL、Ht 40%、白血球7,200、血小板35万。血液生化学所見:尿素窒素40mg/dL、クレアチニン2.0mg/dL、血糖220mg/dL、HbA1c 7.8%(基準4.6~6.2)、Na 145mEq/L、K 6.5mEq/L、Cl 110mEq/L。1か月前の血液検査では、クレアチニン2.3mg/dL、HbA1c 7.5%、K 4.2mEq/Lであった。
この患者の高カリウム血症の原因として最も可能性が高いのはどれか。
(a) スルホニル尿素薬
(b) DPP-4阻害薬
(c) SGLT2阻害薬
(d) カルシウム拮抗薬
(e) 抗アルドステロン薬
正解:e
難易度:低
✕(a)SU剤はインスリンを分泌させることで細胞内にKを取り込ませるため,低カリウム血症の原因となる.
✕(b)DPP-4阻害薬はインスリン分泌やグルカゴン抑制の作用を有するが,ともに高カリウム血症の原因とはならない.
✕(c)SGLT2阻害薬は一時的に腎機能低下を生じることがあるが,それのみではカリウムの値の変動はない.
✕(d)カルシウム拮抗薬は電解質の変動と関係はない.
◯(e)体外へのK排泄を抑制させるため,高カリウム血症の原因となる.