117A69
63歳の女性。健診で低カリウム血症を指摘され来院した。40歳ごろから高血圧でカルシウム拮抗薬を内服している。両親と姉が高血圧症。身長147cm、体重43kg。脈拍72/分、整。血圧152/88mmHg。胸腹部に異常を認めない。尿所見:蛋白(-)、糖(-)、潜血(-)。血液所見:Hb 12.9g/dL、Ht 40%、白血球5,400、血小板22万。血液生化学所見:アルブミン4.2g/dL、AST 21U/L、ALT 16U/L、尿素窒素20mg/dL、クレアチニン0.7mg/dL、血糖109mg/dL、Na 143mEq/L、K 2.5mEq/L。スクリーニングとして、午前10時ごろの随時採血で、血漿アルドステロン濃度472pg/mL(基準50~100)、血漿レニン活性0.1ng/mL/時間(基準1.2~2.5)であった。カプトプリル負荷試験は陽性であった。腹部MRIで左副腎に径17mmの境界明瞭な結節を認め、腺腫が疑われた。
手術療法の適応を判断するために必要な検査はどれか。
(a) FDG-PET
(b) レノグラム
(c) 腎静脈血サンプリング
(d) ガリウムシンチグラフィ
(e) 副腎静脈血サンプリング
正解:e
難易度:低
・低レニン血症,高アルドステロン血症,左副腎結節から,原発性アルドステロン症が疑われる.
・低カリウム血症,高血圧はレニン・アンジオテンシン系の亢進による検査所見であると考えられる.
✕(a)腫瘍性疾患の検査である.
✕(b)腎血流量はかる検査で,腎血管性高血圧症に用いる.
✕(c)副腎疾患には用いない.
✕(d)副腎静脈サンプリングの実施や判定がこんな場合に用いるのは副腎皮質シンチグラフィー検査である.
◯(e)副腎静脈サンプリング実施前には副腎静脈の確認のため,そして腺腫局在の確認のため,副腎(造影)CTが推奨されている.