117A30

30歳の初産婦(1妊0産)。妊娠38週1日、自宅での破水直後から強い呼吸困難を自覚し救急車で搬入された。妊娠37週までの妊婦健康診査で異常は認めなかった。意識は清明。体温37.8℃。心拍数96/分、整。血圧92/76mmHg。呼吸数20/分。SpO2 99%(リザーバー付マスク10L/分 酸素投与下)。腹部超音波検査で胎児心拍が確認された。腟鏡診で出血交じりの羊水を少量認め、子宮口は2cm開大していた。血液所見:赤血球360万、Hb 10.0g/dL、Ht 33%、白血球28,000、血小板14万、血漿フィブリノゲン<50mg/dL(妊娠中の基準401~545mg/dL)。血液生化学所見:AST 20U/L、ALT 15U/L、尿素窒素12mg/dL、クレアチニン0.8mg/dL。
まず投与すべきなのはどれか。

(a) 抗菌薬

(b) アルブミン

(c) ジアゼパム

(d) 新鮮凍結血漿

(e) ノルアドレナリン

正解:d

難易度:低

・破水直後での強い呼吸困難は,羊水塞栓症または肺塞栓症が疑われる.

・子宮口は2cm開大しており,潜伏期であったと考えられる.

・血漿フィブリノゲンが<50mg/dLで激しく減少しており,羊水塞栓症と診断できる.

✕(a)体温上昇,白血球上昇の所見から感染症の合併は存在すると考えられるが,原因検索ののち抗菌薬を投与するため,まず投与するものではない.

✕(b)低アルブミン血症の所見はない.

✕(c)痙攣発作の記載はない.

◯(d)羊水塞栓症では凝固因子が消費され,その後出血が出現するため,治療としては速やかな凝固因子の補充,急速遂娩,全身管理が必要である.

✕(e)血圧,心拍数ともに正常範囲内であり,不要である.

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