117A17
38歳の初妊婦.妊娠24週に急激な腹囲の増大と体重増加を主訴に来院した.体外受精-胚移植(IVF-ET)で妊娠した.妊娠初期の超音波検査で1絨毛膜2羊膜性双胎と診断されている.超音波検査で両児間の推定体重に差を認めない.第1児の最大羊水深度を計測した超音波像(画像A)と両児間の隔壁を示す超音波像(画像B)を下に示す.
画像A
画像B
第1児について正しいのはどれか.2つ選べ.
(a) 貧血になっている
(b) 高血糖になっている
(c) 腎血流が増加している
(d) 胎児発育不全になりやすい
(e) うっ血性心不全になっている
正解:c,e
難易度:低
・急激な腹囲の増大と体重増加から,羊水過多の症状が考えられる.
・1絨毛膜2羊膜性双胎と診断されており,双胎間輸血症候群を起こす可能性が考えられる.
・画像Aでは最大羊水深度が基準値8cmを超えており,羊水過多と判断できる.
・画像2では第2児が子宮内の端で身動きが取れない状態になっており(stuck twin),羊水過少となっている.
以上から,双胎間輸血症候群と判断できる.
✕(a)受血児なので多血である.
✕(b)妊娠糖尿病を示唆する所見は記載されていない.
◯(c)受血児は多血により腎血流は増加する.
✕(d)胎児発育不全になりやすいのは供血児である第2児である.
◯(e)受血児は多血によりうっ血性心不全となる.