117C55
36歳の経産婦(2妊1産)。妊娠38週2日、破水感を主訴に来院した。これまでの妊娠経過に異常を認めなかった。午前5時、就寝中に羊水流出感を自覚し、持続するため午前7時に受診した。内診で分泌物は水様性、BTB紙で青変、子宮口は3cm開大、展退度は60%、硬度は軟、児頭下降度はSP±0cmであった。入院し経過観察を行うこととした。午後1時の内診で児頭の矢状縫合は母体骨盤縦径に一致し、小泉門を12時方向に触知した。胎児心拍数陣痛図で、胎児心拍数基線は145bpm、基線細変動は中等度、繰りかえす早発一過性徐脈を認めた。パルトグラムを下に示す。
適切な対応はどれか。
(a) 会陰切開
(b) 吸引分娩
(c) 帝王切開
(d) 子宮底圧出法
(e) 子宮収縮薬点滴静注
正解:b
難易度:低
・正期産で破水もしており,第2回旋までは正常にできている.胎児心拍数陣痛図の所見から,児頭圧迫の所見が読み取れる.
・パルトグラムより微弱陣痛の基準は満たさず,子宮口全開大から3時間経過していることから分娩第2期の遷延と判断できる.
✕(a)会陰裂傷に行うものである.
◯(b)分娩第2期の遷延であり,子宮口全開大,破水,児頭がStation+2またはそれより下降という3つの必須条件をすべて満たしており,吸引分娩の適応である.
✕(c)吸引分娩で娩出できないばあいに帝王切開とする.
✕(d)吸引分娩を行う上で補助的に行うことがある.
✕(e)微弱陣痛に行うものである.